契約の解除と仲介手数料

契約の解除と仲介手数料

売買契約を解除した場合の仲介手数料の支払い義務のお話です。

契約の解除と仲介手数料

今回は、売買契約締結後、何らかの理由で解除した場合に仲介手数料を貰えるかどうか?という点についてお話していきたいと思います。

あくまで請求できるという点に焦点が充てられるため、実際にはお客様との人間関係や今後の進め方によっても変わってくると思いますし、会社としての考え方も様々かと思います。実務上は、その点も考慮しながら勧めなければいけません。

もちろん、契約を解除した理由によっても仲介手数料の請求ができるかどうか変わってきますので、それぞれについて考えていきたいと思います。

住宅ローン(融資)特約

敢えて別枠に上げましたが、融資特約については、解除条件であると考えることができますが、項目として比較的多いと思われますので、別枠にて解説します。

 

融資特約については、一般的に【●月●日までに住宅ローンの本承認が得られない場合は契約を白紙撤回できる。】といった内容が多いと思います。売主・買主共に契約をなかったことにしよう。というものですから、仲介業者としても当然のことながら仲介手数料の請求はできません。

 

ただし、買主に有責性がある場合、融資特約を使えない。とする売買契約の内容もあります。その場合は、仲介手数料の請求ができる。と考えることになります。

買主に有責性がある場合とは、例として@契約後、転職した(勤務先をやめた)、A契約後、車のローンなどを新たに組んだため信用情報に大きな変化が生じた。等、一般的に考えれば普通やらないだろう・・・というような内容です。

 

 

解除条件と停止条件

上段で少し触れてしまいましたが、解除条件や停止条件が付された売買契約の場合についてです。

 

停止条件の場合

停止条件によって契約が解除となる場合(語弊あり)、基本的に停止条件が成就することによって契約の効力が発生するので、そもそも停止条件が成就されなかった場合、契約の効力が発生していないことになります。そうすると、仲介業者としては形式上、契約を締結していても、法的に成立していないため仲介手数料の請求権が発生していないと考えられます。
と、いうことで仲介手数料の請求はできません。

 

解除条件の場合

売買契約に解除条件が付いている場合、条件が満たされたことによって解約は白紙撤回となることが多いと思います。その場合は、停止条件と違い契約自体は一旦有効に成立しているため、原則として仲介手数料の請求可能です。

 

ただし、契約が完全には履行されていないため、当初の媒介契約にて約定した仲介手数料の満額を受け取ることは難しい可能性があります。最終的にはお客様との相談になりますが、5〜8割程度。と言うのが一般的です。

 

 

契約違反による解除(違約解除)

売主又は買主の契約違反によって解除する場合です。これも基本的には契約は締結されているため仲介手数料の請求は可能です。ただ、上記の解除条件と同様に契約の履行が完全ではないため仲介手数料を満額請求するのは難しいと思われます。

 

 

危険負担による解除

売買契約締結後、決済までの間に建物が滅失してしまった場合のお話です。念のためちょっと実務上の運用のお話をしておくと、一般的な売買契約書であれば民法の規定とは違って、危険負担は債権者(売主)負担になっていると思います。そこは最低限まず押さえておきましょう。

 

で、ここでも契約の締結までは至っているので原則として仲介手数料の請求は可能です。

 

ということで、ここまで読んでいただいた方ならお分かりかと思いますが、仲介手数料の請求権は【売買契約が有効に締結されたかどうか・・・】ということです。そのため、停止条件以外は原則として仲介手数料の請求ができる。という話になります。

 

 

ただし、実務上の運用(会社の内規等)で契約解除となった場合は仲介手数料の請求をしない。としている会社もありますし、別の物件に振り替えて買ってくれるなら請求しない。とか、媒介契約書に契約の履行がなされなければいかなる理由でも仲介手数料は払わなくてよい。となっている場合などもありますので、基本的な知識をベースにしつつ、会社の考え方、お客様との人間関係等も考慮しつつ進めていくのがベターです。