いくつかご質問を頂きましたので、住宅ローンの審査金利と実行金利についてなるべくわかりやすく簡単に解説したいと思います。
まず、その前段階として住宅ローンには店頭表示金利と呼ばれるものがあります。例えば、三菱UFJ銀行の変動金利で2.475%と表示されています。(令和4年10月18日現在)
変動金利で2.475%???と住宅ローンについて勉強し始めたばかりの方は驚くかもしれません。ただ、実際にはこの金利で貸し付けることはありません。ここから優遇幅と言うお客さん毎の割引率を算出し、実際に貸し出す金利(実行金利)となります。
この優遇幅が審査次第でぶれることになりますので、より好条件(好属性)であれば最大優遇を受けられますし、条件が悪いと優遇幅が小さくなります。
さて、前段階でこのお話をしたのには訳があります。
住宅ローンの審査にあたって、借り入れができるかどうかの計算(返済比率等含め)する際に、どの金利で審査をするのか?ということです。これも金融機関によって異なります。
店頭表示金利(≒審査金利)と実行金利のどちらからで返済額を割り出して、支払いが可能かどうかを検討するのです。当然ながら、実行金利の方が低いので審査金利=実行金利の金融機関の方が審査は通りやすくなります。
ただ、勘違いしないで欲しいのは審査金利は今後の住宅ローン金利の上昇を踏まえてもこの人なら大丈夫!と確認するものです。そういう意味では審査金利が高くても通る程度の借り入れに抑えておけば安心して支払っていける。と考えられます。
お客さんのことを思って・・・ともとれるわけです。
例えば、3000万円を借りたとして、審査金利2.475%とケースと実行金利0.60%のケースで月々の支払額を比較してみます。
シミュレーション前提条件:借入金額3000万円、借入期間35年、ボーナス払いなし、元利均等返済
金利 | 月々返済額 |
---|---|
2.475% | 106,847円 |
0.60% | 79,209円 |
月々の支払額はあくまで参考値ですので、こんなに変わるんだ!?くらいの認識でいいと思います。メインの比較は次です。
続いて、年収400万円の人が返済比率35%で計算して借入可能額にどのくらい差が出るのかを比較してみます。
シミュレーション前提条件:年収400万円、借入期間35年、他の借り入れはなし、元利均等返済
金利 | 借入可能額 |
---|---|
2.475% | 3,275万円 |
0.60% | 4,418万円 |
いかがでしょうか?単純な返済比率でのシミュレーションではありますが、1143万円も借入可能額が変わってきます。どちらの銀行が審査が通りやすいか?一目瞭然ですね。
上の方で店頭金利≒審査金利という書き方をしましたが、これは実際には間違いです。
審査金利は金融機関(保証会社)によって結構細かく決まっていまして、実行金利で審査するところもあれば、1.0%とか1.6%とか決まっているところもあります。
このあたりのところは、不動産業者から審査する金融機関に問い合わせるとほとんどの場合、教えてくれます。
年収等から考えて購入希望物件と融資可能額がかなり微妙なところにある場合は、不動産業者の担当者としっかりと打ち合わせして金融機関を変えるのも選択肢だと思います。
ちなみに、2022年10月現在ですが、フラット35は実行金利で審査をしています。