土地の現地調査の仕方

土地の現地調査の仕方

業界初心者向け、土地の現地調査のノウハウです

土地の現地調査の仕方

不動産業界初心者向けのページだけなかなか作成が進まず・・・本当ならば新卒の方々が入社する4月に合わせて作っていく予定だったんですが・・・今年は色々ありまして・・・

 

ということで、初となりますが、不動産業界初心者向け(新卒・中途)&ハウスメーカーの新卒さんにも是非学んでいただきたい土地の現地調査についての講義を開講します!

今回、想定している土地について

原則として、住宅用地(1棟〜2、3棟程度)を想定しています。大規模な土地(数十棟単位の開発用地や工場用地等)は想定しておりません。用途地域は現地調査項目ではありませんが、住宅用地を想定していますので、工専や商業などのエリアはちょっと変わってくると思ってください。

 

持ち物

スケール(メジャー)※一人で測れるもの、カメラ(スマホで十分)、公図(あれば測量図)、筆記用具

 

チェックポイント

ここからが一番重要なところです。実際に土地を見るときに気を付けてみるべきポイントを示していきます。ちなみに全部重要なので順不同です。

越境

まず、一番最初に境界標を確認します。杭や鋲があったりして、境界がほぼ確定できる部分に関しては、隣地からの越境、隣地への越境(既存建物や樹木がある場合)、忘れてはいけないのが、電線等の空中越境についても要確認です。

隣地への越境についても建物の解体予定の有無にかかわらず確認しておくことは必須です。隣地所有者に越境解消のお願いをしに行くことになった場合、こちらからの越境があったことも素直に伝えたほうが話がスムーズにいくことが多いです。

なお、境界標がない場合でもおおよその目測を付けておくことは必須です。
念のため、境界ラインと思われる部分の写真撮影をしておきます。

 

道路幅員

行政によると思いますが、インターネットで調査しても6.22〜6.44等、幅を持たせているケースもありますし、電話で聞いても『現況優先です。』と言われることもあります。念のため、スケールで確認しておくとベターです。また、現地調査の結果、机上の幅員と大きく違う場合、改めて原因調査をする必要があります。

 

現地の採寸

我々は土地家屋調査士でも測量士でもありませんので、実寸を測るのには限界がありますが、とは言えスケールで測れる範囲は測っておくとベターです。

事例として、隣地から1m超の越境があり、色々と話し合った結果、隣地所有者から『時効取得』を援用され、大きく面積が目減りしたことがあります。

 

電柱・標識

宅内にあるものはもちろん、道路であっても土地の利用に制限がかかりそうな場合(駐車のしやすさ等)は確認が必要です。
ちなみに、電柱と電信柱の違いはご存じでしょうか?トリビア的な話で実務に役立つものではありませんが・・・

 

正解は電柱は電力会社(東京電力等)の所有物、電信柱は通信会社(NTT等)の所有物となります。正直知らなくても問題ありません。

 

電柱にも電信柱にも番号が付されています。電力会社と通信会社が共用している場合がありますが、その場合、プレートが上についている方が所有者となります。電柱番号については、移設の可否を訪ねたりする場合に必要なので、メモ若しくは写真撮影をしておきましょう。

 

高低差

道路と宅地との高低差、宅地内の高低差、隣地との高低差、の3つが調べるべきポイントです。特に高低差が2mを超えそうなときは要注意です。擁壁や間知石等、どういった補強がしてあるのかも確認が必要です。(写真撮影必須!)

 

ちなみに、高低ですから道路から土地が低い場合も注意しなければいけません。特に田の場合は道路からかなり低くなっているので、この場合も擁壁(ブロック等)が必須になります。

 

嫌悪施設

ガソリンスタンドや幼稚園(保育園)、小中学校、工場等、地図上で分かるものは現地確認は不要ですが、ゴミ屋敷やあまりにも近隣に不相当な警戒心をあらわにした防犯カメラ等はチェックしておきましょう。

一般に、幼稚園(保育園)や小中学校については、子供たちの声や運動場からの土埃、チャイムの音等から重説には記載しておくことが多いです。暴力団事務所やお墓等とは種類が違うものですが、業界の慣習としては嫌悪施設として一括りにされてしまっています。

 

基本ベースとしてはこんなところかと思います。ただ、川に近い土地は河川法の規制の可能性を考えたり、エリアによって考慮しなければいけない部分はありますし、地域性もあると思います。管理人が現在働いているエリアでは高低差はほとんどないので、擁壁について調べることは年に1度あるかないかくらいです。
その代わり、津波災害警戒区域についての確認(電柱を見て、いわゆる標高のようなものを確認)するなどが必要になっています。

 

地域ごとの特性についてはここでは伝えづらいので、申し訳ないのですが、現場で学んでください。

 

最後に、写真撮影ポイントです。
現地の外観(全体像)、隣地境界部分(全て)、道路、電柱等です。ほかにも気になるところがあればとりあえず、撮っておいて損はないので、バシバシとっちゃいましょう!

 

以上、土地の現地調査の仕方でした。